「宮崎駿にとってのハウルの動く城、押井守にとってのイノセンスは、別の世界に行ってしまった映画だと思う」
「別の世界とは?」
「同じ言葉では語れない世界だ。というか1つの言葉では語れない世界だ」
「1つの言葉で語れないと何が起きるの?」
「常に正しい言葉で語ろうとする者は語れなくなる」
「常に正しい言葉で語ろうとする者って誰?」
「たとえば、オタク」
「で、それがヤマトとどう関係するの?」
「ヤマト2202も、そんな世界に行ってしまうのだろうか」
「宮崎駿にとってのハウル、押井守にとってのイノセンスに対して、ヤマトにとっての2202が同じ位置に来るかもってこと?」
「可能性だよ」
「もし、そうなったらどうする?」
「感想が雲を掴むようなものになるね。全ての言葉は断面しか語れない。つまり的外れ」
「そうなったら良いと思う?」
「面白いことになる」
オマケ §
「イノセンスのリアルタイムの頃にね。同人誌を見せてもらったことがあるのだけど、感想がことごとくツボを外しているのに驚くばかりだった。でもこれは今となっては良く分かる。あれは語れないんだよ」
「1つの言葉では語れない世界ってことだね」
「無理に語ろうとするとするっと逃げていく」
「でも、君は語ったろう?」
「やり方はあるんだ」
オマケ2 §
「イノセンスが下高井戸シネマで上映されたときに見に行ったけど客層がまったくの別物だったよ」
「典型的なオタクの世界ではないってことだね」
「オタクは良い作品を望んでいるわけではない。自らを肯定する作品を望んでいるんだよ」